入選展示作品ーーその1
『光のインスタレーション・コンペ2009』

いよいよ展示のはじまった『光のインスタレーション・コンペ 2009』。
才気あふれる新鋭クリエイターたちの脳から溢れ出たアイディアは、
いったいどんな光なのでしょうか?
そして、そのアイディアを現実のホテルアローレという舞台の上に、
どのように実現したのでしょうか?

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ライティング・デザインのむずかしいところは、なんと言っても、
実際に電気を通し、光を灯さなければならないという点です。
ライトが「光」として機能することは、ごく当たり前のはずのことなのですが、
実際には、頭で考えるほどカンタンにはいかないのが現実です。
参加クリエイターたちも、柔軟な発想で独創的なアイディアを出すことはできても、
そのアイディアに電気が通るとなった途端に、
リアルな感覚としてイメージすることができなくなってしまったりもするわけです。
それでも、ガッツある若手クリエイターたちは、
四苦八苦、試行錯誤を繰り返すなかで、
ついにカタチを完成させ、点灯にまでこぎ着けたのでした。

そんなわけで、今回紹介するのは、アイディアと入選展示作品の数々です。
会期中に、現地に行けそうにもない方々は、
このヴァーチャル・エキシビションを存分に楽しんでくださいませ。

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まず最初に紹介するのは、
『Silhouette of the plant ~シルエット・プラント~ 』。
アクリルという透明な素材を用いた、ユニークな植物のオブジェ作品です。
昼は自然光によって輝き、夜は蛍光灯に光が照らされる。
加賀友禅で知られる「虫喰い葉」を1つだけさし込んで、
それを来場者に探させるというゲーム性も備えた作品で、
たのしい気分にさせてくれます。 

作品名:
Silhouette of the plant
~シルエット・プラント~

作者:
SOL Style(伊東裕+劒持良美)

コンセプト:
優美で華やかな加賀友禅の育った街で、空気の澄んだ冬景色の中、
色彩豊かなアクリルの植栽「シルエット・プラント」が
人々を優しく華やかな光で包みこみます。
かつて人々が加賀友禅に夢見た輝きを昼夜2種の表情で表現した作品です。

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つづいては、
ビニールの2500個のプラスチックカップを
用いた作品『BLUE LIGHTHOUSE』です。
この作品がユニークなのは、誰にとっても身近な日用品を素材に、
見事な青い光をつくり出しているところでしょう。
そして、「FAMILY」「HOBBY」「SMILE」「PEACE」などの
シンプルな単語を能登半島地震の被災者への伝える希望の言葉、「HOPE」として、
ひとくくりにし、メッセージしているところです。
社会派の作品と言ってもいいかもしれません。

作品:BLUE LIGHTHOUSE

作者:大和 嵩(金沢美術工芸大学 環境デザイン専攻)

コンセプト:
青く輝く光の灯台。明日生きる希望は家族や友人、
趣味や笑顔によって支えられている。
作者が加賀地方に住み3年経ったとき気付いた
そんな大切な気持ちを
加賀文化を守る加賀の人々に示す作品です。

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次に紹介するのは、『Reflect Skin』。
山中漆器をモチーフにした作品で、
壁も漆器をシンボライズして「黒」と「赤」に照らされています。
アクリル板には、蒔絵のような花びらが散っていて、
動いて視点を動かしていくと、
花びらが舞いとんでいるような不思議な印象を得ることができます。
チャペルへのアプローチが体験型の空間になっているのですね。

作品:Reflect Skin 

作者: 
山崎 智志(フリーランス)
工藤 浩平(東京藝術大学大学院 美術研究科 建築専攻)
田中 和沙(東京電機大学大学院 未来科学研究科 建築学専攻)
武田 慎平(東京電機大学大学院 未来科学研究科 建築学専攻)

コンセプト:
光を反射させる漆の壁と舞い散る花びらの模様がチャペルへといざなう。

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こちらは、
本人たちも”予想外に素晴らしい出来映えとなった”という作品
『ひかりの並木道』です。
出展クリエイターたちは、
普段は、漆という工芸品をつくることはあっても、
空間全体を考えてデザインするということがないそうなので、
とても刺激になったと語っていました。
散りばめられた木製の葉っぱは、
木をロクロでひく技術を用いてつくったもの。
なかなか雰囲気が出ていますね。

作品:ひかりの並木道 concentree

作者: 
田中 瑛子(石川県立山中漆器産業技術センター 石川県挽物轆轤技術研修所)
山口 愛 (石川県立山中漆器産業技術センター 石川県挽物轆轤技術研修所)
岩元 善彦(石川県立山中漆器産業技術センター 石川県挽物轆轤技術研修所)
佐藤 勇士(石川県立山中漆器産業技術センター 石川県挽物轆轤技術研修所)

コンセプト:
未来への希望を込めた「ひかりの並木道」。
溢れ出る「幸せ」「未来」への誘導線を、
強く暖かく豊かに演出する。
伝統の加賀山中の技を新しい発想で取り入れた、
工芸の力と現代感覚が融合した作品です。

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さて、次に紹介する作品は、
本コンペのなかでは、もっとも大型でもっとも
手間暇がかけられた作品のひとつ
『ぼんやりと。ふんわりと。』です。
その設置物の大きさゆえ、中に入って体験できるというのが強みです。
中に入ると、不思議な別世界が広がっていて、
アトラクションを楽しんでいるような気分になれる魅力的な体験型作品です。

作品:ぼんやりと。ふんわりと。

作者:
田沼 大輔(日本工業大学 建築学科)

コンセプト:
ぼんやりとふんわりとした日本の光。
障子は、昼間は自然光を通し、夜は中から光を照らす。
灯篭をイメージしたこの作品は、
内側と外側の2つの側面からの楽しみを、
見る人に投げかけています。

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こちらの作品名『GEM-gem』は、「ジェムジェム」と読みます。
一粒一粒は宝石のカタチをしており、
ライトに照らされることで、ふしぎな光を放ちます。
遠くから、水面に映る光の様子を観るのものよし、
近づいてカットされた宝石模型の輝きを眺めるもよし、
まさに1粒で2度おいしいという作品展示に仕上がりました。

作品:GEM-gem

作者:
柳瀬 聡一郎(フリーランス)
福士 麗菜(フリーランス)

コンセプト:
いく度も叩くことでできた細かな面。
その面と面が反射しあうことで繊細な光を放つ金箔。
光の屈折、拡散、反射で綺麗な輝きを放つ宝石をヒントに、
ホテルの池の周りに光を散りばめることが考えられた作品です。

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つづいて、
紹介するのは、「友禅流し」です。この作品を制作したのは、
『Reflect Skin』と同じチーム。ところが、この「友禅流し」、
実は、当初の構想では、池の上に浮かべて、
両端からビームライトで照らすはずだったんです。
ところが、現地に吹く予想外の強い風のせいで、急遽予定を変更。
ガラス面を花で彩る、こんな作品へと昇華させたのでした。
自然光を透かして、活かして、景色を彩った作品。
なかなか美しく水面に反射していますね。

作品:友禅流し

作者:
山崎 智志(フリーランス)
工藤 浩平(東京藝術大学大学院 美術研究科 建築専攻)
田中 和沙(東京電機大学大学院 未来科学研究科 建築学専攻)
武田 慎平(東京電機大学大学院 未来科学研究科 建築学専攻)

コンセプト:
失われた友禅流しの風景は加賀五彩の花の帯となり甦る作品。

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さらに、
急遽変更することになった作品を
前半の最後に、もう1作品紹介しましょう。
それがコチラ、『光の水引き』です。
同作品も元々は、池の水面の上に浮かべるように設置されるはずのものでした。
しかし、やはり風や設置状況の悪さから、
池への設置をどうしても断念せざるをえませんでした。
それでも、リタイアだけは免れたい、何とかみんなを喜ばせる作品にしたいと、
必死で「光の水引き」が引き立つ場所を探りだし、
ついに見つけたのが、チャペル広場の壁。
光ファイバーに映し出される色が変化していく様子は、
池の水面に反射するので、結果的には、
美しいインスタレーションに仕上がったのでした。

作品:光の水引き

作者:
藤井遼佑(慶応義塾大学大学院)
山下航司(東京大学大学院)

コンセプト:
光ファイバーを束ねてつくった、光の水引きです。
加賀の「むかし」と日本の「みらい」を融合した
新しい光として池の水面に灯り、
闇の夜に浮かび上がる作品です。

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さあ、
前編のヴァーチャル・エキシビションはいかがでしたでしょう?

みなさんなら、どの作品に最優秀賞を与えるか、
自身が来年、応募するなら、どんな作品をつくるだろうか、
そんなことを考えてみるのも楽しいかもしれません。

では、
後編のレポートも楽しみにお待ちくださいませ。